三次元ユークリッド空間上の零次微分形式 ,一次微分形式
,二次微分形式
,三次微分形式
の 外微分 は,それぞれ次のようになるのでした.(まだ計算に馴れていない人は,練習問題だと思って左辺から右辺を導いてみて下さい.)
これらをじっと見ていて気がつくのは,ベクトル解析に出てきた ,
,
等の演算に, 似ている ということです.式
は単なる関数の全微分なので良いとして,まず式
から検討してみましょう.これは,ベクトルの 回転 に似ています.一次微分形式を
と書き,
を
のベクトルに対応させる写像
を導入します.
このとき,ベクトル の回転は次のように表わされます.
成分はよく似ていますが,式 は二次微分形式になっていますので,まず ホッジ作用素 を使って一次微分形式に対応させたあと,
を作用させる必要があります.こうすれば,
を外微分とホッジ作用素だけで表現できる事がわかります.
同様に,発散と二次微分形式は次のように関係づけられます.式 と 発散 を見ながら,自分で確認してみて下さい.
勾配は次のように書けるでしょう.
初めて勉強したとき,何だか謎めいて見えたベクトル演算子ですが,微分形式を使うことで,統一的に見ることが出来そうですね.素敵です.
[*] | ホッジ作用素については,空間の向きや計量の正負について注意点がたくさんありました.いま,(文脈から)常識的に,三次元ユークリッド空間で, ![]() |
勾配,発散,回転などは,ベクトル演算子 の作用として与えられましたが, 共変ベクトルと反変ベクトル の記事で見たように,普通のベクトルは反変ベクトルで,
は共変ベクトルだということでした.つまり,普通のベクトルと
は双対ベクトルの関係にあるわけです.
この関係を外積空間で捉えなおしてみましょう. ホッジ作用素 で触れたように, の双対空間は
ですから,普通のベクトル
を前セクションのように
に関係づけるなら,
は
に関係づけられることになります.
一次微分形式 の双対は,
と書け,これは
の元です.普通の対応では,基底は
と考えて良いです.
[†] | この段階では, ![]() |
実は,普通に(曲面 上の局所的な
座標系で)考える ベクトル場 は,
のような形に考えるのが自然なことです.(例えば
という偏微分は,曲面
の
軸にそった変化を与える作用素ですから,向きとしては
上で定義される
軸の方向を向いていると考えることが出来ます.そこで,
を基底
に対応させるのは自然なことですよね.)一般に,
の形のベクトルを 接ベクトル と呼びますが,これは,また,多様体を勉強した後に稿を改めて解説するつもりです.とりあえず,滑らかな曲面上の接ベクトルは, 方向微分 と同じものだと考えても間違えではありません.(同じものです.)蛇足ですが,接ベクトルと双対の関係にあるベクトルを, 余接ベクトル と呼びますが,先ほどのように二次微分形式を接ベクトル場に対応させるなら,一次微分形式は余接ベクトル場に対応することになります.これも,多様体を勉強した後で詳しく説明する予定です.(名前はごっついですが,図的なイメージさえ湧けば,そんなに難しい話ではないと思います.)
[‡] | 一次微分形式は ![]() ![]() |
[§] | ベクトル場の基底と ![]() |
[¶] | もし二つの座標系 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |