境界条件から波動関数を求める

式 (7.17) の $ A,B$ は境界条件,規格化条件から決まる定数である. まずは境界条件から考えよう. ポテンシャル $ V(x)$ は式 (7.8.1) で定められていた. $ V(x)$$ x$$ -L,L$ の場所から無限大になる. ここで重要なのは $ x=-L$ および $ x=L$ の場所でポテンシャルが無限, つまり粒子が存在できないということ. $ x>-L,~ L<x$ の場合に $ f(x)=0$ となるのは ポテンシャル $ V(x)$ の値で場合分けしたときすでに考えた. しかしシュレディンガー方程式の解である波動関数は連続でなければならないから, ちょうど境界にあたる $ x=-L,~ x=L$ の部分では 式(7.12)もこの条件を満たさなければならない.

$ x=-L,~ x=L$ で粒子は存在できないのだから, この範囲の $ x$ で式(7.17)の $ f(x)$ はゼロになる.したがって

$\displaystyle f(-L)$ $\displaystyle = A\cos (-kL) + B \sin (-kL) = 0$ (7.18)
$\displaystyle f(L)$ $\displaystyle = A\cos (kL) + B \sin (kL) = 0$ (7.19)

$ \cos(-x)=\cos(x),~\sin(-x)=-\sin(x)$ という関係を使うと,

$\displaystyle A\cos (kL) - B \sin (kL)$ $\displaystyle = 0$ (7.20)
$\displaystyle A\cos (kL) + B \sin (kL)$ $\displaystyle = 0$ (7.21)

この式から $ A,B$ の値を決めることができる. まず $ A=B=0$ という場合が考えられるが, この場合は無意味なので考えない. 両方の場合をまとめると

$\displaystyle k = n\frac{\pi}{2L}\, , \qquad (n=1,2,3,\cdots)$    

となる.$ k$ はこのように許される値が決まってしまった. $ \pi/2L$$ n$ 倍になっている.飛び飛びなわけだ. この飛び飛びの状態を量子化 されているといい, $ n$ を量子数 と呼ぶ.

物理のかぎプロジェクト / 平成18年3月2日