フーリエの法則

実験事実から,熱移動量 $ q$ は温度勾配と物体の断面積 $ A$ に比例することが分かっている.これを式で書くと

$\displaystyle \frac{q}{A}\propto\frac{dT}{dx}$ (4.2)

である.ここで比例定数を $ k$ とおくとつぎのようになる.

$\displaystyle \frac{q}{A} = -k\frac{dT}{dx} ,\quad$ (4.3)

単位を含めて書くと

$\displaystyle \frac{q\ [\mathrm{W}]}{A\ [\mathrm{m^2}]} = -k\frac{dT\ [\mathrm{K}]}{dx\ [\mathrm{m}]}$    

である.この関係式をフーリエの法則 (Fourier's Law)という. この法則は物質の形状,状態(固体,液体,気体)に関わらず成り立つ. 比例定数 $ k\ [\mathrm{W/(m\cdot K)}]$熱伝導率(thermal conductivity)と呼ばれる. これは物質の種類とその状態(温度と圧力)によって決まる物性値である. 熱伝導率が大きいほど熱が伝わりやすい.

フーリエの法則の右辺に負号が付いているのは,温度勾配と熱移動量に矛盾がないようにするためである. たとえば $ +x$ の向きに温度が高くなっていれば, 熱は $ -x$ 向きに流れる(熱は温度が高い方から低い方へ流れる). したがって熱移動量 $ q$ の符号は負でなければならない.

物理のかぎプロジェクト / 平成18年3月2日