一つの前の記事 代数方程式の性質 で代数方程式を定義しました.
特に, 有理係数の代数方程式の解 を 代数的数 と呼びます.例えば や
は,
,
といった有理係数代数方程式の解ですから代数的数です.
もやはり
という有理係数代数方程式の解ですから代数的数です.一方,
は
という代数方程式の解ではありますが,係数
が有理数ではありませんので,この例を見る限り
は代数的数ではありません.
しかし,他に を解とする,有理係数の代数方程式は一切存在しないと言えるのでしょうか?世の中には無限に代数方程式があるわけですから,どんな数だって,何らかの代数方程式の解になっているということないでしょうか?実は,世の中の仕組みはそうはなっていません.どうしても代数方程式の解にはならない数が無数に存在します.これらを 超越数 と呼びます.
超越数の有名な例には 等があります.ある数が代数的数であることを証明するのは簡単ですが,超越数であることを証明するのはとても難しいことです.
が超越数であることの証明は
年,リンデマン(
)によってなされましたが,とても難しいものだそうです.
( が超越数であることを証明したリンデマン)
一般に, の形をした数は代数的であることを示して下さい.(ヒント:このような数を
と置いて,移項したり累乗したりして代数方程式を作ってみましょう.)