二つの三角関数
を,一つの三角関数
の形に変形することができます.ここで
です.この関係は単振動の合成などで必要となります.
三角関数の合成の関係式を,天下り的に証明します. まず,つぎの図のような直角三角形を考えます.
ここで と置きます.すると図から
ということが分かります.つぎに を加法定理で展開します.
ここに先ほどの , の値を代入して
が得られ,冒頭で説明した関係式が正しいことが分かります. この関係式は,図と一緒に覚えておくと間違いがなくて良いです.
また, は
の関係を満たす角度ですから, で表すと
であり, の形にするには逆三角関数にすれば良く,
と表せます.
例として,二つの単振動
を足し合わせて一つの単振動に合成してみます. まず,合成してできあがる単振動の式を
と置いておきます.この段階では と はどんな値なのか分かりません. 未知数です.合成後の式を上のように置いたのですから,
という方程式ができます.これから三角関数の合成をして, いま未知数と置いた と を決めます.
加法定理で 式(1) の右辺を展開し,整理します.
ここで,
と書き換えてみますと 式(1) は
と書けます.これは三角関数の合成の式そのものですね.したがって
です. と を元に戻すと
が得られます.