等加速度運動

加速度一定の運動を等加速度運動という. 等加速度運動では,$ t$ 秒後の速度と位置は

  速度:$\displaystyle \qquad v = at+v_0$ (1.4)
  位置:$\displaystyle \qquad x = \frac{1}{2}at^2+v_0t+x_0$ (1.5)

と表せる.$ v_0$$ x_0$ はそれぞれ $ t=0$ のときの速度と位置であり,これらを初期条件という. 等加速度運動の式が言っているのは,「(等加速度で運動している限り)初期条件がわかれば $ t$ 秒後の速度と位置がわかります,まかせてください」ということである.

これらは公式として覚えてもよいが,少々複雑な形をしている. 運動方程式を立てて積分すれば簡単に導くことができる. 例として,質量 $ m$ のボールをまっすぐ投げ上げたときの運動を考えよう. 上向きに $ x$ 軸をとりボールに働く力は重力のみだとして,運動方程式は

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$\displaystyle m\frac{\mathrm{d}^2x}{\mathrm{d}t^2} = -mg \qquad \therefore~ \frac{\mathrm{d}^2x}{\mathrm{d}t^2} = -g$    

この両辺を積分すると,積分定数を $ C_1$ として

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$\displaystyle \int\frac{\mathrm{d}^2x}{\mathrm{d}t...
...t g\,\mathrm{d}t+C_1 \qquad \therefore\ \frac{\mathrm{d}x}{\mathrm{d}t}=-gt+C_1$    

ここで $ \mathrm{d}x/\mathrm{d}t$ というのは速度 $ v$ のことだから,

$\displaystyle v=-gt+C_1$    

と書き換えられる.積分定数 $ C_1$$ v_0$ とおけば

$\displaystyle v=-gt+v_0$ (1.6)

となり,式(1.4)ができあがる. 式(1.5)を求めるには,これをさらにもう一回積分する.

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$\displaystyle \int\frac{\mathrm{d}x}{\mathrm{d}t}\...
...t=\int(-gt+v_0)\,\mathrm{d}t+C_2 \qquad \therefore\ x=-\frac{1}{2}gt^2+v_0t+C_2$    

積分定数 $ C_2$$ x_0$ とおけば

$\displaystyle x=-\frac{1}{2}gt^2+v_0t+x_0$ (1.7)

となり,式(1.5)のできあがりである.

物理のかぎプロジェクト / 平成18年3月2日