物理学のだいいっぽ

人間は何のために生き,どこから来てどこへ行くのか. なんて高尚なこと,とても簡単に語れるものではありません. しかし物理学はそれを語ってくれる可能性があります. 世界とは何だろう,僕たちの周りを包んでいるものはなんだろう. 世の中は何からできているのか,時間とはなんなのか, 世界に果てはあるのか,終わりはあるのか, もしも世界が終わったなら,僕たちの生きた証はどこに残るのか. ちょっと思いを巡らせただけで,分からないことばかり浮かんできます.

深遠なテーマ

これまで多くの賢者たちが同じ様な疑問を抱き,幾度となく議論を重ねてきたことでしょう. 一つは哲学として,一つは宗教として,そして一つは物理学として現代に引き継がれています. ご存じの通り,物理学は現代社会に大きな影響を及ぼす力をもっています. その力はよい面に使われることがほとんどですが, 地球環境の(人類にとっての)悪化や軍事利用などの,よいとは言えない影響も与えます.

と,そのような深遠なテーマを語る知識はもち合わせていませんので,つぎ行きます.

物理学のイメージ

物理学に対するイメージって,どんなですか. 質量なんとかの物体だとか滑車だとか,なにかが滑ってたりなにかが投げられていたりする 無味乾燥なイメージですか.それともブラックホールだとかビッグバンだとか, 遠くの宇宙のちょっと現実味のないSFじみた話でしょうか. 難しい数式が溢れんばかりの,理解不可能っぽい世界でしょうか.

崎間は物理学に対して,以上のような印象を抱いていました. あまりいい印象ではありませんね. ところが最近になって,物理学はすばらしいと思うようになりました. なぜなら,物理学は自然を相手にするからです. 僕たちは生物である以上,自然という環境に依存しなければなりません. 自然を尊敬しつつも,自然を理解しようとする,その姿勢がすばらしいと思うのです.

人間も自然の一部であるとするならば,自然が自然を理解しようとしていることになります. こんなに自然で,不思議なことは他にありません.

なんだろう

物理学とはなんだろうと考えているとき,森博嗣著, 『幻惑の死と使途 - ILLUSION ACTS LIKE MAGIC -』という 小説に素敵な一文を発見したので,ここに引用します.

でも……,西之園君.物理の難しい法則を理解したとき,森の中を散歩したくなる. そうすると,もう,いつもの森とは違うんだよ.それが,学問の本当の目的なんだ.

学問をするとは,物理を学ぶとは,決して難しい目的ではなく, こんなちょっとした喜びを噛みしめるためにあるのではないでしょうか. もちろん,なにかを習得するには多くの困難が立ちはだかります. やはり難しいこともたくさんあります.でもそれだけ,喜びも大きくなるというものです.

これからほんの少しでも,自然を理解するために物理を考える時間を持つことができたら, その時間はきっと大きな意味をもたらしてくれると思います. ある一つの法則を理解することで,すべての見方が変わってくる.それが物理学なのですから.