ベクトルは本来座標の変換とは, 独立に存在しています. この記事では,おちいり易い間違いを 退けるためベクトルの変換について書いていきます.
ベクトル [*] の座標系 と座標系 との間の「成分」 [†] の変換を書きます. ここで注意するべきことは,ベクトルは座標系の表示とは独立して存在しているという事に注意してください. ベクトルに座標系を持ち込むと,以下のような変換則が表れるのです. 簡単のため,三次元のベクトルを書きますが, もっと高次でも同様です.
[*] | ベクトルは高校では, の様に書きましたが, 大学では, の様にボールド体で書くのが一般的です. |
[†] | 成分にカギ括弧を付けたのは,これとは別の「基底」の変換があるからです. |
それは,次のようになります.つまり,
に対し,
となります.これを基底の取り換え の行列といいます.
さて,ベクトル を二つの座標系で表わしてみましょう. 行列の転置を で表わすと,
より,
を比べて,
これが,「基底」の変換行列です. 添え字が逆になり,更に の位置が入れ替わっているのに気をつけてください.
それでは,今日はこの辺で.