これは,Joh氏の ベクトルの回転 の記事の続編です. 次の記事は, 続々ベクトルの回転 です. 行列の回転を三次正方行列で表すと,意外ときれいな形でまとまったので書いてみました.
これから ベクトルの回転 で出た式を行列で表します.ではさっそく元の式を見てみましょう.
ここで と , として , とすると,
ここで, は三次正方単位行列, また は となっていて これをテンソルと考えた時,ダイアド積(別名として「テンソル積」単に「ダイアド」とも)と呼びます.
ダイアド積は,ドットでもクロスでもなくただベクトルを並べるだけで表し,二階のテンソルの表現の一種です . と に対し,ダイアド積 は,
となります.
そして少ししつこいかもしれませんが,
とも書きます.
ところで, と置くと, より, なんと
となります.よって,最終的に次の形になります.
ここで, は回転前のベクトル.他は, であり , です.
余談ですが結構物理では外積 の行列表現 は もちろん の行列表現 の形をしたものを目にすることが多いと思います. 例えば遠心力は という形をしていますし, 慣性テンソル を求める時,角運動量 ,角速度ベクトル として,
に対して,
が の定義ですから,
これを知っていると戸惑うことはなくなると思います.
電磁気学でも
という公式が少し考えるだけで書けるようになります.
追記:最後の電磁気学の例は,偏微分が交換できる時に限るようです.