図形を回転させる前と,回転させた後とで区別がつかないというのが「回転対称」です. 最初に分かりやすい4回回転対称から,そのあとですべての回転対称をみて行きます.
下のような正方形があったとします.
これを正方向に30度ほど回転させてみます. 最初と比べると傾いているので,回転させた後と前とで区別することができます.
では90度回転させるとどうでしょうか.
まったく回転させていない場合と比べて区別できますか? できませんね. 正方形を90度回しても,回さなくても同じなのです.これが回転対称性です.
0度から360度まの範囲で考えると正方形は90度,180度,270度,360度で回転対称をもつことになります. 360度回すと元に戻るのは当然なので,それ以上の回転は考えません. つまり正方形の場合,360度までで4回ほど対称な回転位置があります. これを4回回転対称と呼びます.また,回転は正方形の中心を軸にして行いました. この軸は4回回転軸と呼ばれます.
1回回転対称は簡単です.4回回転対称が360度の間に4回の回転対称位置があるのに対し, 1回回転対称は1回しかありません.つまり360度回したときです. 360度回すとどんな形の図形でも元に戻るのは当り前です. これを1回回転対称と呼びます. 最も低い回転対称なんていい方をされることもあります.
つぎのような図形を考えます.
これを正方向に90度回転させてみます.
元の図形と区別できますね.さらに90度回転させて,最初の状態から180度回転した状態にします.
もとの図形と区別できません.180度の回転によって区別できない状態になりました. したがって,回転対称な位置は180度,360度の2点あることになります. これが2回回転対称で,回転の軸は2回回転軸です.
つぎの図形を考えます.正3角形です.
これを正方向に90度回転させてみます.
元の図形と区別できます.さらに30度回転させて, 最初の状態から120度回転した状態にします.
最初と区別できない状態になりました.120度の回転です. しがって360度のうち回転対称は120度,240度,360度の3回あります. このような回転対称を3回回転対称といい,回転軸は3回回転軸です.
もうだいたい分かってきたと思います.つぎの正6角形を考えます.
30度回転.
元の図形と区別できます.さらに30度回転させて,最初の状態から60度回転した状態にします.
これは区別できない状態,回転対称な位置です. 60度,120度,180度,240度,300度,360度の6回あります. 名前は6回回転対称で,回転軸は6回回転軸です.