量子力学にはなくてはならないものの1つが演算子です.その演算子について学びます.演算子とは,関数に作用させて演算を行うもので,量子力学では,さまざまな物理量が演算子で表されます.いきなり演算子と言われても,ぴんとこないと思いますが,例えば,位置を表す や,運動量を表す も演算子として扱うことになります.
そこで,演算子 に対して,
という量を定義します.これを演算子 の交換関係といいます.
ならば,「演算子 は交換しない」といい,
ならば,「演算子 は交換する」といいます.
冒頭で紹介した, と について,交換関係を計算してみます.量子力学では,(1次元の場合) とします.ここでは,分かりやすいように,この交換関係が後ろの という関数に作用するとしてみましょう.さらに, や が演算子であることを強調するために, と書くことにします.
となって,
つまり,
と求まります. をすぐに としてしまいがちですが, は後ろの にもかかっていますので,上記のような計算結果となります.