無限等比級数の和

初項 a_1 ,公比 r の等比数列 a_n において, -1<r<1 のとき

\sum^\infty_{n=1}a_n=\frac{a_1}{1-r}

という公式が成り立ちます.等比数列をずっとずっと足しあわせていったら, 上の式の右辺になるというのです. 無限に足しあわせたのに一定の値になる(収束する)というのはちょっとフシギな感じがします.

導きかた

この公式を導くのは簡単です.等比数列の和の公式

a_n = a_1 r^{n-1} \tag{1}
S_n = \frac{a_1(r^n-1)}{r-1} \qquad (r\ne1) \tag{2}
S_n = a_1n \qquad (r=1) \tag{3}

を思い出します.式(2)において, -1<r<1 のときは

\lim_{n\to \infty}r^n=0

が言いえます.たとえば r=0.5 の場合, 0.5 \times 0.5 = 0.25, 0.25 \times 0.5 = 0.125, \dots と, 掛け続けるといつかはゼロになりそうです. 上の式は,絶対値が 1 より小さい数を永遠に掛け続けて行くと, いつかゼロになるということです.そうすると式(2)は

\lim_{n\to \infty}S_n &=\lim_{n\to \infty}\frac{a_1(r^n-1)}{r-1}\\  &= \frac{-a_1}{r-1}\\  &= \frac{a_1}{1-r}

となります.無限等比級数の和が収束するのは, 足しあわせる数の値がだんだん小さくなって,いつかはゼロになるからです. もちろん, -1<r<1 のとき,という条件つきですが.

数列

1+e+e^2+e^3+\cdots

は初項 1,公比 e の等比級数です.もしも -1<e<1 ならば

1+e+e^2+e^3+\cdots=\frac{1}{1-e}

と有限の値に収束します.この逆の,

\frac{1}{1-e}=1+e+e^2+e^3+\cdots

という関係も覚えておくと便利なことがあります.