この記事は下に挙げる参考文献『理論物理学のための幾何学とトポロジーI』中原幹夫著(ピアソンエデュケーション) に解説されている「双対変換(Hodge作用素*)」を非正規直交系の時にどうなっているのか,とにかく使える様になる為の記事です.
まず,
次元多様体
を考えます.
形式
と
形式
は同型な為,計量
が与えられていれば,ある自然な同型写像を定義できます.まず,完全反対称テンソル
を
ここで substitution とは置換のことを言っています.つまり,
が
の偶置換か奇置換かによって符号を変える反対称なテンソルを定義したわけです.
さて,ここでホッジ作用素
の基底ベクトルが非正規直交な時の定義を書きます.
ここで,計量を
とし,
としました.また
の
は,絶対値を意味します. また,完全反対称テンソルの添え字が上になっている部分は
の逆行列の
成分である
を使って上げています.これは正規直交な時は計量が二階単位テンソルなので,
に等しいですが,今回は非正規直交なので無視できません.アインシュタインの縮約規則を使っていることに注意しましょう. 例えば,
なら,
を意味します.
なお,
に関しては,
と定めます.これは座標系に依らないので不変体積要素と呼ばれます.また,
に対しては,
となっています.ここでホッジ作用素は,線形性とマイナス1倍の違いを除いて,自身が自身の逆写像であることを注意しておきます.計量(対称行列)
を成分に持つ行列(テンソル)は直交行列で対角化した時,正の固有値の数が
個で,負の固有値の数が
個の時,
を指数と呼びます.(ゼロ固有値はないものとする.)対角成分が全て正の時,リーマン多様体と言い,一つだけ負で他は正の時,ローレンツ多様体と言います.一般に
の偶奇でホッジ作用素を二回掛けたものの符号が決まります.
線形性,
リーマン多様体の時,(
が偶数の時,)
ローレンツ多様体の時,(
が奇数の時,)
ここで,実際に定義を具体例で計算してみてホッジ作用素がどのようなものか,調べてみます.
の時を考えます.
つまり,三次元多様体上の一形式の双対変換です.一形式は
で全てです.愚直に計算すると,
となりますが,完全反対称テンソルがゼロにならないところだけを整理して書きだすと,
ここで
ですから,反対称テンソルの符号反転と組み合わさって,
となります.正規直交系の時なら,
の様に単純だったのですが,非正規直交系と言うことで,式
では項が混じっています.
本当にこんな汚くて
になるのでしょうか?
試しに
を計算してみます.ここでも完全反対称テンソルが非ゼロのものだけ書くと,
となります.同様に
では,式
にさらに
を作用させた式に代入してみましょう.
も
も対称行列ですから,
が成立することに注意して,
ここで,
の逆行列は
ですから,
となり,
となります.例えばリーマン多様体とすると,確かに
が成立していることが分かります.
ここで,今度は多様体の次元
とし,正規直交ベクトルの双対の一形式を
とします.
非正規直交ベクトルの双対の一形式を
とし,
で,
を右手系とします.つまり,
とします.
とすると,
であり,
となります.
ここで,疑問が一つ出てきます.例えば
つまり,1形式の双対変換について,
の等号は成立するのでしょうか? 実際に計算して一致を確かめましょう.
これは簡単です.
となります.
定義式,式
より,リーマン多様体(固有値が全て正)だから
を使って,
式
から,
ですから,
と,
を使って,
が言えました.確かにどちらの計算も同じになりますね.
今日はここまで,お疲れさまでした!