反射の法則

反射の法則は,経験的にも分かる,言わずと知れた法則です.その反射の法則について,ちょっと真剣に考えてみましょう.

反射の法則

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平面波(波面が平面で,波面に垂直な方向に伝播する波)が,ある面に向かって進んできます.

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そして,反射してきます. i を入射角, i' を反射角と呼びます. 「そんなの知ってるよ〜. i=i' でしょ?」という声が聞こえてきそうですが,どうしてそうなるか,考えたことがありますか.

最初から丁寧に考えていきましょう.

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波面が AA' に到達するまでは,何事もなくまっすぐ進んできます.では, B' を通る波面はどうなるでしょうか. 点 A で反射した波は,点 A' の方が点 B' まで進む間に,それと同じ距離つまり A'B' だけ進むことは分かりますが, どちらの方向に進むか分かりません.点 A を中心とした半径 A'B' の半円のどこかにいることになりますから,その半円を図示しておきます.

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平面波は,波面に垂直な方向へ伝播しますので,点 B' から半円に引いた接線が,新しい波面 BB' となることが分かります (中心からある点(ここでは点 B )を結ぶ線分( AB )と,その点に接する接線( BB' )は垂直に交わりますね).

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その後はそのまままっすぐ進んでいきます.

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さて,入射角 i と反射角 i' がどのような関係にあるかを考えてみましょう.

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\bigtriangleup A'AB'\bigtriangleup BB'A が直角三角形であることから,

\angle A'AB'=i
\angle BB'A=i'

となります.

\sin i=\frac{A'B'}{AB'}
\sin i'=\frac{AB}{AB'}
AB=A'B'

より,

\sin i=\sin i'

と分かるので,

i=i'

と求まります.

固定端反射と自由端反射

波がある媒質にぶつかって反射する時には,その点で媒質が固定されているかどうかによって,様子が異なります. 適当なひもが用意できる場合は,以下に紹介する簡単な実験ができますので,ぜひやってみてください.

固定端反射

固定端反射の場合,反射する点をぎゅっとつかんで固定しておきます.

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反射する点でない方を持っている人が,波を1つ送ります.

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波が伝わっていきます.

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ひっくり返って戻ってきます.両端を固定端にして波を送ると,以下のようになります.

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自由端反射

自由端反射の場合,反射する点は輪にして,棒に通すなどして,図中矢印の方向に自由に動けるようにしておきます.

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反射する点でない方を持っている人が,波を1つ送ります.

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波が伝わっていきます.

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ひっくり返ることなく戻ってきます.両端を自由端にして波を送ると,以下のようになります.

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波の式では

波を式で表した時に現れる「位相」に触れておきます.固定端反射における「ひっくり返る」は, 位相で言うと(入射波に対して反射波は)「 \pi ずれる」ということになります.自由端反射では「ひっくり返らない」のですから, 位相は「ずれない」ということになります.