行路と光路

光が進む距離を表す言葉には,「行路」と「光路」の2種類があります. どちらも「こうろ」と読むためか,「同じもの!?」と思いがちですが,実は別物です. その違いを説明していきます.

真空中では

真空では,光は(当たり前ですが)光速 c という速さで進んでいきます.

tomo-kouro-fig1.png

長さ L を進むのにかかる時間 t は,

t=\frac{L}{c} \tag{1}

となります.

物質中では

屈折率 n_A の物質Aを考えます.今度は光の進む速さが変わりますね. 屈折の法則 より, この物質中での光の速さ v_A は,

v_A=\frac{c}{n_A}

と求まります.

tomo-kouro-fig2.png

長さ L を進むのにかかる時間 t' は,

t'=\frac{L}{c/n_A}=\frac{n_AL}{c} \tag{2}

と書けることが分かります.(1)と(2)を比較してみると, 物質A中を走る光の距離が,真空中での距離 n_AL に相当することが分かります.

行路と光路

光の走る距離,すなわち L のことを「行路」と呼び, n_AL つまり「屈折率 \times 行路」のことを 「光路」と呼びます.光路は真空中の光にとっての行路ということになります(真空中を進む光では,「行路 = 光路」となります).

光路を計算してみよう

以下の表では,3つの物質について空気に対する 屈折率 を紹介しています. 波長 656.3[{\rm nm}] の光が,それぞれの物質の中を 2[{\rm m}] 進む時の, 光路を求めてみてください.空気の屈折率は 1 とします.

tomo-kouro-fig4.png