結晶の面はミラー指数( ミラー指数(面) を参照)によって表すことができました. 面とは別に,結晶の方向を表したいときもあります. 結晶の方向は「面に垂直な方向」と表すので,面のミラー指数表記が分かっていれば簡単です. この記事では,方向を表すときのミラー指数についていくつかの例を紹介します.
結晶の方向は,「面に垂直な方向」つまり「面の法線」を用いて表すことができます. 下図のような単位格子を考え,原点 A から H へ向かう方向を表したいとします. 単位格子は,簡単のため立方晶の場合を考えます.
AH に垂直な面(図中で青く塗りつぶした三角形)のミラー指数は ですね.
面の方向も同じく 111 という情報を用いてあらわします.
方向の場合は,丸括弧の代わりに角括弧で括って
と表記します.
結晶の方向を表す際の約束はこれだけですので,
面のミラー指数を表せるようになっていれば新しく覚えることはあまりありません.
このように,結晶の方向を結晶の面指数で表したもは 結晶方位 と呼ばれます.
AH は と表せました.
同様に考えて,つぎの図の AF,AC,DB の方向を表してみましょう.
ちょっと考えてみてください.
考えましたか? 早速ですが,答えは以下のようになります.
AF や AC は A を原点としているので分かりやすいですね.
それぞれの方向に垂直な面を ミラー指数(面) の手順で表わし角括弧で括れば,
AF は ,AC は
となります.
DB の方向については,DBに垂直な面が そのままではミラー指数で表し辛いので,一見良く分かりません. 結晶軸はどこにとっても差し支えないので,つぎの図のように考えましょう.
こうすれば,DBに垂直な面は 軸に
で,
軸に
で交わることが分かりますから,
面のミラー指数は
と表せます.したがって DB は
と書けます.