力学のだいいっぽ

力学は物理の最も基本的な要素を多く含んでいます.高校でも大学でも一番最初に力学を習うように,物理の入口と言えます.とはいうものの,僕(崎間)は力学というのが苦手でした.物理のはじめに習う力学が苦手だったんですから正直いって物理は苦手,というか僕には向いてないな,と思っていました.高校2年生の頃のことです.

科目名は物理IB.テスト前に徹夜で勉強したのに30点も取れずに赤点.授業では黒板に式がたくさん出てきてノートを取るのも大変.公式を当てはめて練習問題を解いてみても,それをやって何が楽しいのか意味不明で10分経ったら忘れてしまう.そう,ハッキリ言って楽しくなかったんです,物理は.

そんな僕に物理の楽しさを教えてくれたのは,高校時代の友人が貸してくれた一冊の参考書「橋元流解法の大原則」でした.その友人も僕と一緒であまり成績は良くなかった(失礼!)と思いますが,参考書なんて縁がなさそうな彼が「これ読んでみてや,もう,スゴイわかるけ」(たしかこんなセリフだったと思う)と言って貸してくれた本,まあちょっとくらい勉強してもいいかなと思ったわけです.

すると不思議なことに,面白い.よくわかる.今まで謎だった,自分には無理と思っていたことがわかった.それまでに味わったことのない感動と喜びがありました.知的好奇心っていうんですか? それが満たされる感覚です.

その本は教科書なんかと違って本当の基本から書いてありました.僕が分からなかったのは物理だけでなく,物理の理解に必要な基礎知識(数学の基本など)だったのです.と同時に,基本的なことから順を追って行けば物理はそれほど難しくないんじゃないかと感じました.

教科書は悪者になることが多いですが,最近になって教科書はさすがに素晴しいものだとちょっとだけ分かるようになりました.でも素晴らしすぎる,完璧すぎるんです.全てのことが理路整然としていて,道に迷った痕跡が伺えません.そうすると,僕のような「成績の悪い」人間には理解不能に思えてくるのです.

ここが分からなかった,こんなとこでつまづいた,そんな話しをしながら話してくれる人がいたら,僕も聞きたい.でもそういう授業や本にはあまり巡り会ったことがありません(あ,Webサイトなら EMANの物理学がありました!).きっと僕があまり知らないだけで,そんな人はたくさんいるのでしょうけど.

さらに気付いたのは,教えられる人よりも教える側の方がダンゼン楽しそうだということ.これは授業に熱中して時間オーバーする先生方がたくさんいることからも伺えます.楽しそうに授業をしてくれる先生はたくさんいます.

だから僕も,教える側の人間の立場に立ってみたいな,と思いました(「教える」というと偉そうですね.僕の分際で.分かっていただくという気持ちです).物理の授業がサッパリ分からなかった,あの頃の自分に言うように,楽しさを伝えられたらいいな,と.もちろん,僕はまだまだ修行中の身なので,これからも勉強を続けないといけません.

勉強を続けながらホームページの記事も書いて行けたら,わかる喜びと,分かってもらう喜びを味わえたら,2倍楽しそうだなと思うんです.まずは物理の歴史の入口である力学から,なるべく多くの人たちに物理ってなんだか面白そうだなあと分かって貰えるような記事を書こうとしています.