剛体の回転シリーズ番外編3です. せっかく番外編2で剛体のハミルトニアンを求めたので, 剛体のハミルトニアンを解いてトルクのかからない 剛体の運動方程式を導いてみました.
まず,ハミルトニアンを確認します. 剛体のハミルトニアンを次のようなものでした.
パラメータ に対して,
です.
それでは,さっそく式 を求めてみましょう.
ここで,次のように を定義します.
すると,式 は,次のようになります.
同様に, についても,
これらを行列で表示すると,
となります.行列部分を, で定義しました.
次は,式 を計算していきます. まずは を求める作業から,これはハミルトニアンが を含まないので簡単ですね.
次に, を求めます.これは,すこし面倒です.
式 を二次形式の行列を使って表すと,
上の式の最後で,行列部分を を使って定義しました.
同様に, を求めると,
となります.ちなみに,
です.
さて,これからの大まかな流れを書いていきます.まず,式 を逆に解きます.つまり,
を計算します.
次にこれを使って式 と式 から, を消去します. さらに,式 を で微分して,
最後に,これを
について解けば, 運動方程式が完成します.つまり,
ここで,式 , , を使って, を消去したことを強調して置きます. ちなみに,式 の両辺を で微分して,
そして,式 を使って,式 から, を消去したもの,つまり,
も見かけは違いますが,
の両辺を で微分してやれば,
となって,同じ方程式を与えることが分かります.
まず,さっき考えた通り,式 と式 から, を消去します. それには の逆行列 が必要ですので,それを求めます. は次の形をしていました.
長くなるので,計算過程は省略します. 逆行列は,例えば余因子行列を求める方法で求めてください.
に注意すれば,
となります. すると, 正方行列の三連続積の展開 を利用して,
また, についても,
次に, の時間微分を求めます.記法の簡単のため,
とします.
でしたので,
に注意すれば,
ここで,
のように,列ベクトル を定義します. すると,
となります. そして,この列ベクトルに をかければ良いのです. よって運動方程式は,
となります.これら三式が知りたかった剛体の運動方程式です.
それでは,今日はこの辺で. お疲れ様でした.