正方行列でない行列の逆行列とは,どんなものか.という疑問の答えの一つがこれです. 注意として,世間一般で言われるランクがnより小さいn次正方行列に対する「一般化逆行列」とは,異なるものの様です.
三次元空間内で, 原点を通る二本のベクトル [*] と で 張られる平面 と,点P との距離 が最短距離を示す時の と の値を求めます. つまり,
[*] | 右上の は,転置を表します. |
が最も近づく時を考えます.
それには,距離 が最小値を取る時を考えればよいです. つまりは, の二次式なので,平方完成を行います. 実際に計算してみると,
最後の行で,ギリシャ文字 を定義しました. 順番に,アルファ,ベータ,ガンマ,デルタ,イプシロン,ゼータと読みます. さらに計算を続けると,
と,この様になります. 最後の行の最初から二つの項は をベクトル と の成す角として, かつ, の時(つまり, かつ,ベクトル と の成す角が や でない時)に,ゼロにすることができて,その時の が知りたいのです.
ここから,ベクトルを使って表現することにします.
ここで,ベクトルの演算を練習しておきます.スカラー三重積は,
と言うように,スカラー積とベクトル積の入れ替えができます. そして,ベクトル三重積は,
ですから,これと新たなベクトル とのスカラー積をとって,
これと,式( )の右辺の上段を見比べて,
下段は,これの と を入れ替えたものだから,式( )は,
となります.そして,
であります. ここで,もう一つの外積の行列での表現,
を用います.これは,三次元の列ベクトルなので, との内積を取る為に, 転置します.
式 の下段は,同様に と を入れ替えればよく, 以上をまとめて書けば,
の距離が最小になる解は,
ただし,
であり,その時の最短距離 は,式 の一番最後の行から,
となります.以上でこの記事は終わりです. これより次元が高い場合も,いつか計算してみたいです. それでは,今日はこの辺で.