半値全幅(FWHM)と分散の関係

ここではガウス分布(正規分布)に現れる分散 \sigma^2 と,半値全幅(FWHM)の関係について解説します.

ガウス分布

ガウス分布は正規分布とも呼ばれる,次のような形で表される関数です.

G_{X,\sigma} (x) = \frac{1}{\sigma\sqrt{2\pi}} \exp \left( -\frac{\left(x-X\right)^2}{2\sigma^2} \right) \tag{1}

\sigma^2 は分散といいます.ガウス分布は x = X を中心として次図のような分布になります.

co-gauss01.png

ガウス分布

幅のパラメータ

x = X + \sigmaG_{X,\sigma} (x) の変曲点になっています.(1)を二回微分して x = X+\sigma を代入すれば確認できます.

ガウス分布は全範囲にわたって積分すると 1 になるように規格化されています. X-\sigma \leq x \leq X+\sigma の範囲で積分すると, 0.6826... という値になるような幅が \sigma です.

通常,ガウス分布の幅はこの \sigma を用いて表されます. したがって, \sigma幅のパラメータ とも呼ばれます.

半値全幅

もうひとつ,ガウス分布の幅を表すのによく用いられるものがあります. それが半値全幅(FWHM - Full Width at Half Maximum)です.

FWHM は図のようにガウス分布の最大値のちょうど半分の値をとるところの幅になります.

co-gauss02.png

FWHM

\sigma と FWHM の関係

それでは \sigma と FWHM がどのような関係になっているのか見てみることにします.

まず,FWHM の定義から

G_{X,\sigma} \left( X + \frac{\rm{FWHM}}{2} \right) = \frac{1}{2} G_{X,\sigma} (X) \tag{2}

が成り立ちます.(2) に (1) を代入して

\frac{1}{\sigma\sqrt{2\pi}} \exp\left(-\frac{\rm{FWHM}^2}{8\sigma^2}\right) = \frac{1}{2} \frac{1}{\sigma\sqrt{2\pi}}
\exp\left(-\frac{\rm{FWHM}^2}{8\sigma^2}\right) = \frac{1}{2}
\frac{\rm{FWHM^2}}{8\sigma^2} = \ln 2
\rm{FWHM}^2 = 8\sigma^2 \ln 2

FWHM は幅を表すので正号をとって

\rm{FWHM} = 2\sigma\sqrt{2 \ln 2}  \tag{3}

となります.

式 (3) は大雑把に計算すると

\rm{FWHM} \simeq 2.35 \sigma

です.もっと大雑把に言えば,FWHM は \sigma の約二倍です. この関係は覚えておくと良いでしょう.