オイラーの公式

さりげなく多用されているオイラーの公式は,複素数と実数の橋渡しとしてかなり重要です. オイラーの公式はつぎの形をしています.

e^{iax}=\cos(ax)+i\sin(ax) \tag{1}

ここで, i は虚数単位, a は定数, x は変数です. この公式は知らないととても困る上に恥ずかしいので,憶えておかなければなりません.

導いてみる

e^{iax} をべき級数展開するとつぎのようになります.

e^{iax} &= 1+\frac{i(ax)}{1!}-\frac{(ax)^2}{2!}-\frac{i(ax)^3}{3!}           +\frac{(ax)^4}{4!}+\frac{i(ax)^5}{5!}-\frac{(ax)^6}{6!}-\frac{i(ax)^7}{7!}+\cdots\\        &= \left(1-\frac{(ax)^2}{2!}+ \frac{(ax)^4}{4!}-\frac{(ax)^6}{6!}+\dots\right)           +i\left(\frac{(ax)}{1!}-\frac{(ax)^3}{3!}+\frac{(ax)^5}{5!}-\frac{(ax)^7}{7!}+\cdots\right) \tag{2}

とりあえず e^{iax} はこういうふうに展開できるのだと思っておいてください. 虚数単位 i が入っているので, i で括っています. i でくくった方が虚数部分,もう一方が実数部分です.

式(2)式(1) のオイラーの公式を比べて見ると,実数部分が \cos(ax) で, 虚数部分が \sin(ax) なんでしょ,という気持ちになってきます. その通りで \cos(ax)\, , \sin(ax) のべき級数はそれぞれつぎのようになります.

\cos(ax) = 1-\frac{ax^2}{2!}+\frac{ax^4}{4!}-\frac{ax^6}{6!}+\dots \tag{3}
\sin(ax) = \frac{ax}{1!}-\frac{ax^3}{3!}+\frac{ax^5}{5!}-\frac{ax^7}{7!}+\dots \tag{4}

式(3)式(4)式(2) に代入すると,オイラーの公式

e^{iax} = \cos(ax)+i\sin(ax)

が得られます.なんだかだまされたような感じですが,とりあえずオイラーの公式は導けました.

使いみち

e の肩に虚数単位 i が乗っていたら, \sin\cos で表現できる」 ということを肝に命じておきましょう. i に負号がついて -i になったときは, sin\, , \cos で表したときの i の符号が変わるだけです.

e^{iax} &= \cos(ax)+i\sin(ax)\\e^{-iax} &= \cos(ax)-i\sin(ax)

また,上の2つの式を足し合わせると普通の \sin\, , \cose を使って表すことができます.

e^{iax}+e^{-iax}=2\cos(ax) より \cos(ax)=\frac{e^{iax}+e^{-iax}}{2}

e^{iax}-e^{-iax}=2i\sin(ax) より \sin(ax)=\frac{e^{iax}-e^{-iax}}{2i}

この関係も活躍するので憶えておくといいですね.