電荷

この世の中には電荷(electric charge)というものがあります.むりやり例えるなら力学でいう質量みたいなものでしょうか.ただ,電荷には正負があります.正負の電荷を担うものは陽子や電子といったミクロな粒子です.

電気現象が発見されたギリシア時代は,摩擦した琥珀がものを引き付ける奇妙な現象ととらえられていましたが,今僕たちは電子が負の電荷を持ち,陽子が正の電荷を持つことを知っています.電子と陽子の持つ電荷は符号が逆なだけで,大きさはまったく等しいということも知っています.

原子は陽子と中性子(電荷を持たない粒子)からなる原子核,そして電子からできています.原子はふつう,原子核内の陽子の正電荷と電子の負電荷が同じ数だけあって全体としては中性なのですが,電子がなにかの拍子にどっかへいってしまったり,逆に多めにあったりします.その場合,電子の分だけ負電荷が多かったり少なかったりします.この状態がイオンです.

イオンは原子によってどんな風になるか(正イオンになるか陰イオンになるか),なりやすいかどうか決まっています.電気陰性度というやつです.身近なところでは,乾電池なんかは金属イオンの受け渡しで電子を流して電流を発生させています.健康器具ではよくマイナスイオンがどうとか言っていますね.

電荷は電子と陽子で同じ大きさで,その大きさがそのまま電荷の量の最小単位になっています.その大きさはだいたい

e = 1.6\times10^{-19} \unit{C}

というとても小さな量で,これを電気素量といいます.この単位 C とはクーロンというもので,電荷の大きさを表す単位です.とにかく最小単位が e という電気素量なのですから,すべての電気現象で現れる電荷は(素粒子論の範囲外では)電気素量の整数倍になります.