2次方程式の解の公式

2次方程式には「解の公式」なるものが存在します. 中学・高校では頻繁に使うのですが,個人的に最近はあまり使わなくなっていました. 公式の存在すら忘れてしまい「ん,これはどうやって解くんだ?」,「解の公式?は?」 なんてことにならないためにも,そして「公式」に頼りきらないためにも, 2次方程式の解の公式を導出をしてみましょー. さらに学びたい人には, 平方完成の図形的イメージ という姉妹記事も用意しています.

解の公式

まずは公式そのものの確認です.2次方程式 ax^2+bx+c=0 の解は

x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a} \tag{1}

で与えられるという公式,これが「2次方程式の解の公式」です. ほとんどの人が,中学生のとき数学の授業で暗記させられたと思います. みなさんは,まだ覚えていますか?(僕はついこないだまで忘れてました.)

導出

それでは,解の公式を導いてみます. 単純に,2次方程式を平方完成して解けば良いです.つぎの2次方程式

ax^2+bx+c=0

を,実際に平方完成して解いて行きましょう (平方完成の手順を忘れてしまった人は,その復習にもなりますよ). 最初に,一番次数の大きい x^2 の係数で x の項を括ります. いまの場合は a で括ることになります.

a\left(x^2+\frac{b}{a}x\right)+c &= 0 \tag{2}

そして,括ったカッコを2乗(平方)の形にします.ここが平方完成です.

a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-a\left(\frac{b}{2a}\right)^2+c &= 0 \tag{3}

このとき,マイナスの項が出てくる理由はいいですよね (よく分からなければ,実際に式(3)を計算して, 式(2)に戻ることを確かめてみてください).

式(3)の左辺第1項だけを左辺に残し,それ以外は右辺に移項します.

a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2 &= a\left(\frac{b}{2a}\right)^2-c

上式の両辺を a で割って( a \ne 0 とします),右辺を通分すると

\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2 &= \left(\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{c}{a}\\ &= \frac{b^2}{2^2 a^2}-\frac{c}{a}\\ &= \frac{b^2-4ac}{4a^2}

となります.ここまでくれば,後は

\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2 = \frac{b^2-4ac}{4a^2} \tag{4}

を変形して x= の形にしてやれば解の公式のできあがりです. とりあえず,左辺の2乗を外したいですね.

たとえば「 x^2=u 」という式があって, x^2 の二乗を外したい場合は, 右辺をルートにすれば良いのでした.しかし x=\sqrt{u} では間違いです. 二乗して u になる数は +\sqrt{u}-\sqrt{u} の二つあることに注意してください. したがってこの例では x=\pm\sqrt{u} となります.

これを踏まえて式(4)を変形しますと

x+\frac{b}{2a} &= \pm\sqrt{\frac{b^2-4ac}{4a^2}}

となります.そして左辺第2項を移項して

x = \pm\sqrt{\frac{b^2-4ac}{4a^2}}-\frac{b}{2a}

通分すると

x = \frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}

のできあがりです.これで,解の公式(1)の導出が完了しました. 導出の流れさえ理解しておけば,解の公式を忘れてしまっても, ax^2+bx+c=0 からスタートしていつでも導くことができます. 解の公式を導く方法は上の通りでしたが,「平方完成」とはどういう意味があったのでしょう. 知りたい方は 平方完成の図形的イメージ に進んでみてください.