集合の元同士を足す・掛ける

この記事で勉強するのは,記号の書き方だけですので,特に難しいところは無いと思います.最後に,簡単な演習問題を載せておきます.

集合の元全てに何かを掛ける

二つの集合 K,L を考えます.このとき, K に含まれる元と, L に含まれる元の積をとり,それらを全部集めた集合を KL もしくは LK のように書きます. KLLK が両方あるのは,一般に積は可換ではないので,乗法の順序も重要だからです.

KL=\{ kl|k\in K,l \in L \} LK=\{ lk|k\in K,l \in L \}

特に, K がたった一つの元 a からだけなる集合 K=\{a \} であった場合には,もう K の代わりに a と書いてしまった方が分かりやすいですから,次のように書きます. L の全ての元に,左から,もしくは右から a を掛けた集合という意味です.

aL=\{ al|l \in L \} La=\{ la|l \in L \}

一般に, KL が群でも, KLLK は群にならないことに注意してください.

逆元だけ集める

次も,表記のルールです.集合 K に含まれる各元に対し,その逆元だけを集めた集合を K^{-1} と書きます.

元同士を足す

特に,集合 K と集合 L の元の間に可換演算を考えるとき,この演算を加法の形で表現することができます.これを K+L と書きます.集合同士の和集合 K\cup L とは意味が違いますので注意してください.

K+L=\{ k+l|k\in K,l \in L \}

引き算も定義できます.

K-L=\{ k-l|k\in K,l \in L \}

これらは,記法の問題ですから,慣れが肝心です.群の類別を勉強し始めると,こうした書き方の集合がたくさん出てきます.

問題1

一般に, KL が群でも, KLLK は群にはならないことを示してください.また, KLLK が群になるのはどのような場合でしょうか?

問題2

もしも K が群ならば, K^{-1} も群になることを示してください.

問題3

G が元 a を含みます.このとき, 次のことをそれぞれ確認してみてください.

  1. aG=G
  2. Ga=G
  3. G^{-1}=G

問題4

G に含まれる任意の元 x に対し,もし x^{2}=e が成り立つならば, G は可換群であることを示してください.