古典的なユークリッド幾何学では,図形を移動すると言ったら,次の三つの基本的な移動方法を組み合わせるという意味でした.これをまとめて 合同変換 と呼びます.
これらの移動方法は,以下に順に見ていくように群をなします.まとめて 運動群 と呼びます.運動群は,図形の移動に関する群です.
[*] | 結晶学では結晶格子の構造を考えるのに点群と言われる群を使います.点群も運動群も空間群の一種です.点群論には上記の3種の移動に加えて,反転,回映,回反などの操作も考えます.ここでは当面の間,点群論に踏み込む余裕がありません.点群に興味があってサイトにいらした方ゴメンナサイ m(_ _)m |
まずは図形の平行移動が群をなすことを見てみましょう.
次に,回転移動も群をなすことを見てみます.
線対称移動も群をなすことも確認します.(実は, 群の定義 の例題8として,既に挙げてあるのですが,もう一度やります.) 公理 の前に,単位元の存在 を確認すると分かりやすいと思います.
式で書くと,3.と4.は次のように書けます.
ある一本の線に対して,線対称移動は, という,位数がわずか2の群になります.
ユークリッド幾何では,平行移動,回転,線対称移動の3つの操作を合わせて, 合同変換 といいます.合同変換全体の集合は群をなします.
線形代数の復習になりますが,図形の合同変換は行列で表記することができます.実際に計算を行う場合に,行列表記が便利な場合があります.
合同変換によって,点 が点 に移動されたことを,行列とベクトルで次のように書けます.
四次の行列で書いても良い.