無限巡回群

有限回転群は有限巡回群でした.同様に,無限回転群( 2\pi を無理数で割った角の回転を繰り返して得られる回転群)は無限巡回群になります.その位数は無限です.

無限巡回群の元 a に関し,その冪乗同士の合成を考えます.

a^{m} a^{n} = a^{m+n}

有限巡回群の場合には m+n が群の次数を越えた場合に注意が必要でしたが,無限巡回群では,元を何乗しようとも同じ元が繰り返し現われるということは無いのですから,指数に注意する必要がありません.

また,巡回群ですので,個々の元は a^{n} の形になっているはずです.そこで,個々の元を指数を表わす整数 n と一対一に過不足なく対応させることができます.これより, 無限巡回群は,整数全体が加法について生成する群と同型 だと言えます.

[*]同型に関する詳しい定義は 準同型写像 を参照してください.

練習問題

図のような繰り返し模様を,自分自身に重ね合わせるように平行移動させる操作の全体は,無限巡回群になることを示して下さい.

Joh-InfiniCyclicRepic01.gif
[†]当初,この記事を書いたとき,無限に続く模様の例としてまっさきエッシャーの絵を思いつき,次のような挿絵を考えました.しかし『数ヲタ』さんに,エッシャーの絵のパターンでは上下に移動させても,左右に移動させても自分自身に重なるので, Z \times Z に同型だと指摘され,その通りなので練習問題の絵を差し替えました.数ヲタさん,ご指摘ありがとうございました.
Joh-Escher.png

(エッシャーの作品より)